障害をもった児童が生活する現場

■重症心身障害児施設
 重症心身障害児とは、知的障害と肢体不自由をあわせもち、しかも障害程度がともに重度であるため、知恵おくれであったり、精神面・行動面における発達遅滞であったりします。
 具体的には、食事、着脱衣、排泄、洗面、移動などの日常生活上の介助が必要です。また、てんかん性の発作等が頻繁であったり、失禁、異食、興奮、その他の問題行動を有していることも多く、日常的な看護が必要とされています。
 こうしたことから、重症心身障害児施設は、児童福祉法の施設ではありますが、同時に医療的色彩が濃く、医療法による病院としての扱いも受けており、二重の性格をもっています。
 重症心身障害児といっても、その障害は重度から比較的軽い障害まで範囲は広く、また、その程度は、医療的ケアが常に必要な程度から、ある程度作業などに参加できる程度までさまざまです。また、年齢的にも、児童から、成人に達している人まで広範囲です。そのため、処遇上の問題や具体的な指導が効果的に行えるように、@医療を中心とする病棟、A自力で移動することができる児童の病棟、B作業グループ活動を中心とする病棟などに分けられています。
 こうしたことから、施設に働く職員は医師、看護師をはじめ、指導員、保育士など職種は多岐にわたります。その中にあって保育士は、日常生活上の指導、介助などを中心とした役割を担っています。しかし、重症心身障害児施設は、その職種で明確に職務を分担することができない場合もあります。したがって、職員のチームワークが特に大切であるといえます。また、入所している児童は、治療が本来の目的ではありますが、長期入所する場合が多く、情緒面や精神面へのケアが大切であり、このことは保育士の役割として重要な仕事です。
 以上見てきたように、保育士といってもその仕事内容はさまざまで、専門的知識・技術も多岐にわたって必要となります。