障害をもった児童が生活する現場

■肢体不自由児施設
 肢体不自由児施設は、手足などにマヒや機能的な障害があるために、訓練・指導が必要な児童を入所させて療育していくことを目的とした施設です。肢体不自由児の場合、単に手足が不自由というだけではなく、養育環境や社会的環境が悪条件をつくり出し、心理や行動に影響する場合があります。具体的には、「行きたいところに行けない」「一人でやりたいことがやれない」など、手足が不自由であることからさまざまな欲求不満をもち、そのことが不適応行動を引き起こしたりする場合があります。また、移動が困難なことから、行動範囲が狭められ直接的な経験が不足しがちです。接触する人間も特定の人たちに限られることが多いといえます。その結果、社会性が未熟になり、人間関係に支障をきたす場合もあります。
 さらに、肢体不自由児は、自分の身体的な障害を意識する結果、劣等感をもちやすいといわれています。
 では、実際に肢体不自由児施設ではどのようなことが行われているのでしょうか。肢体不自由児施設はその性格上、医療やリハビリテーションの機能が必要であり、重要な役割を担っています。そのため、他の児童福祉施設と比べて、職種が多岐にわたっています。また、このことは処遇内容が広範囲であることを示しています。
 肢体不自由児施設における療育は、医療、機能訓練、生活指導、教育と大きく4つに分けることができます。
 このうち、医療は医師、看護師を中心に、そして、機能訓練は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が主になって行われます。保育士が中心になって行うのは、生活指導、教育の分野です。
 生活指導は、日常生活のかかわりのなかで、児童の全人格的成長を図ろうとするもので、その内容は、基本的生活習慣、情緒的・社会的適応、学習、余暇、経済観念等に至るまで、その指導内容は広範囲にわたります。 また、教育の分野では、養護学校が併設されるか、施設内に分校が設けられており、主に学校教師があたりますが、就学前の幼児に対しては、施設内において心身の発達を促すための保育を行っており、保育士の重要な役割となっています。