障害をもった児童が生活する現場

■知的障害児通園施設
 知的障害児通園施設は、発達障害をもつ幼児を対象に、通園しながら、年齢や障害に合わせた療育をしています。
 では、療育の内容を詳しく見てみましょう。
 知的障害児通園施設では、療育の目標として、子どもの生活リズムを整える、生活習慣を身につける、体づくり、対人関係や言葉の発達を促すなどがあります。そのために、集団による指導や、それぞれの子どもの発達段階に合わせた発達課題別小集団指導、さらには、個別指導を行っています。また、家庭訪問を通じて家庭での生活や地域での生活を知り、療育に役立てたり、保育所との交流保育を通じて、地域や仲間づくりをしています。
 他方、子どもにとって必要となる関係諸機関、たとえば児童相談所、保健所、病院などと密接な連携をとりながら、総合的な子どもの発達をめざした活動に取り組んでいます。
 実際の内容としては、生活年齢、発達レベル、障害の程度、障害の特性、介助の度合い、体力、家庭への援助度などを基準にしたクラス編成を行い、1クラス10名程度に3名から4名の職員を配置し、それぞれ子どもの課題に取り組んでいます。
 こうした活動以外に、外来の療育相談部門を設けているところもあり、そこでは、身辺の自立や言葉の問題、対人関係などに心配のある、在宅で生活している子どもの相談、指導に応じています。
 これは、施設のもつ専門性を広く地域社会の人びとに活用してもらうことを目的に行われている事業です。こうした知的障害児通園施設において、保育士の業務に関して見ていきますと、まず第一に、療育の中枢的な役割を担っています。すなわち、日々通園してくる障害幼児のクラスに入り、その子どもたちの発達課題に共に取り組みながら、指導・訓練を行うわけです。
 また、通園施設では母子通園が原則となっており、母親とともに、子どもの育成に取り組むことが大切な仕事といえます。特に、障害幼児をもつ母親は、子どもの成長を願い、日常の中で苦悩しながらわが子を育てています。そうした母親に対して、相談、指導をしていくことは、単に母親にとって必要であるばかりでなく、障害幼児の発達・成長に大きな影響を及ぼします。保育士は、こうした母親に対して援助していくことも大変重要な仕事といえます。